2016年12月8日木曜日

カジノで金を失うのは誰なのか?

法曹とは関係ないが、カジノ先進国のアメリカから一言いいたい。

日本人がカジノと聞いて思い浮かべるイメージはラスベガスのような若い人たちが、おしゃれな格好をしてバケーションを楽しんでいる華やかなものであろう。

もしかすると、それは瞑想かもしれないという話をしたい。

以前、ニュージャージーの郊外にあるアトランティックシティーという街にあるカジノに平日の昼間に行ったことがある。ラスベガスのようなカジノのイメージを描いてカジノのドアを開いたのであるが、思い描いたイメージとの違いに愕然とした。中は養老院かと思うほど、高齢者が目立っていた。中には杖をついている人もかなりいた。同じ市内の他のカジノに行っても状況は同じであった。

特に、スロットマシーンに夢中になっている高齢者が多くいた。そういえば、友人が、高齢の親がカジノに行ってしまって困っているという話をしていたのを思い出した。高齢になると、痴呆症にならないにしろ、自己を抑止する力が衰えてくるのではないかと思う。

補足であるが、以前、仕事の関係で何件かスロットマシーンの特許の明細書を読んだことがある。スロットマシーンの特許は、どうやれば、一般の人が何度も何度も同じスロットゲームをやりたくなって、カジノに戻ってきてくれるかに発明性があると主張しており、そこに特許性が認められていた。つまり、どうすれば一般の人がギャンブル中毒になるか、その方法を見つけて特許しているのである。中毒になる人がいればいるほど、カジノは儲かるからである。

若い人がギャンブル中毒にかかってしまった場合、中毒を直すセラピーによって中毒が治った場合、再度働くことができるが、高齢者が中毒にかかった場合、老後の蓄えを使い果たし、中毒が治ったとしても再度働くことも難しいので、残された道は生活保護である。

カジノの経済的効果があることは否定しないが、既に昼間にやることのない高齢者がたくさんいる日本でカジノを作った場合、老後の資金を使い果たす高齢者が増えて、生活保護費用が増すかもしれない。政府としては経済的に見てもプラスよりマイナスの方が多くなる可能性があるかを総合的に検討すべきだろう。




1 件のコメント:

  1. アメリカの場合、オンラインのカジノゲームを解禁している州が多く、ネット依存症とカジノ依存症の2つの依存症がミックスされている方が見受けられます。私の知る限り5年以上前から社会問題化しています。これを治療して社会復帰できるのは専門病院のコストが払える金持ちのみ。
    つまり、ネット・カジノを通じてますます社会の二極化、階層の固定化が広がる。しかし、貧困層はネットに張り付いているので、暴動は可及的に抑えられる、というわけです。
    これは、嬉々としてアメリカの猿真似を続ける、日本の未来でもあります。

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