2015年5月23日土曜日

新しい弁護士活用方法?

下記の記事を読んでいて、ふと思いついたことがある。
https://www.jimin.jp/news/policy/pdf/pdf163_1.pdf
私はどこかの政党を支持するわけでも、極端に言えば政治についてもあまり興味がある方ではないので、その点は、断わっておく。

ふと思いついたことは、この記事とはあまり関係ないが、国会議員と協力した新しい弁護士活用方法である。それも、両者の利害を一致させる活用方法である。

アメリカと日本の大きな違いは、個々の議員の秘書の数である。日本の立法は基本的にお役所が案を出すのであり、議員立法は本当に珍しい。たったの3人しか公設秘書が認められていなければ、議員が立法案を自分で国会に提出するなんてことは、通常無理である。
これに対して、アメリカの議員の秘書の数は膨大である。そのうちのかなりの人数が、ロースクールを卒業して司法試験に合格している。彼らは、ロービーストからこのような立法をしてほしいとの要請を聞いたりして、議員立法案を起案したりもする。

ここまでアメリカのロースクールの制度を入れたのだから、日本の公設秘書の数を増やすための法改正をするのはどうであろうか。その目的は議員立法を活性化させるためなので、増やす公設秘書は司法試験に合格して修習を修了していることを法律上の条件とするのである。たとえば、公設秘書の数は6人までとし、そのうち3人は司法試験に合格して、修習を修了していなければならないとする。

国会議員は、日ごろから、官僚に対して快く思っていない人も多いだろうから、議員立法を促す法改正は、国会議員にとっても弁護士会にとってもWin Winの関係になると、話を持っていけるだろう。

議員立法を促すことが日本にとって良いことかどうかは分からないが、ここまで崩壊し、人気が低迷した法曹界を活性化させるには、これくらいの思い切った活用方法が必要ではないか。


2015年5月21日木曜日

ロースクールには行くな!!!

同僚アメリカ人弁護士が、Don't Go To Law School (Unless)という本の話をしてくれた。
http://www.amazon.com/Dont-Law-School-Unless-Opportunity-ebook/dp/B009D13IA6

例外的な場合を除いてロースクールには行くなということが書いてある本だそうだ。アマゾンでも購入できる。

もう既に弁護士になっていて、多忙な人が読む本ではないが、これからアメリカのロースクールに行こう、特に、アメリカの3年のロースクールでJDの学位を取ろうと思っている人は、読むべき本だと思う。

同僚弁護士によると、アメリカの弁護士のうち10万ドル以上(1ドル100円で計算すると1000万円)の年収のある弁護士は、たったの12パーセントしかいないのだそうだ。つまり、88パーセントの弁護士は年収が1000万円に満たないのだ。それなのに、ロースクールを卒業するためには、学費だけでも4万ドル×3年間で12万ドルの投資が必要だ。つまり1ドル100円で1200万円である。その間の生活費なども考えると、ロースクールに行くために18万ドルくらい借金をする人が多い。1ドル100円で計算しても1800万円の借金である。円安で考えたら、2000万円を超える借金である。これほど借金を負っても、88パーセントの弁護士は年収1000万円に届かないのである。


つまり、例外的な場合を除いて、ロースクールに行くのは、採算が取れない。

ロースクールに行く前にこの本を読むことをおすすめする。

2015年5月16日土曜日

自国の弁護士資格を取っても無意味?

韓国の大学卒業後、アメリカのロースクールに留学して、アメリカの弁護士になったばかりの韓国人と話をした。韓国の弁護士資格は取得しようと思わなかったのか聞いてみた。すると、韓国の弁護士資格を取得しても意味がないし、無駄だと言っていた。

韓国人が韓国の弁護士資格を取っても無意味と平気で答えるのは、悲しいことだと思った。

日本のロースクール入学者は極端に減っているようだ。
このまま放置しておけば、日本で生まれ育った日本人が、「日本の弁護士資格を取得しても意味がないし無駄」と言って海外の弁護士資格だけを取得する日も近いのだろうか。もしかして、もう、そう言っている人もいるのではないか。

悲しいことである。

2015年5月11日月曜日

二世弁護士が有利な理由

アメリカの弁護士を見ていると、親が成功している弁護士である場合、その子供もある程度稼いでいる弁護士であることが多いと感じる。

アメリカのようなロースクールシステムは、二世弁護士にとって、本当に有利である。

弁護士業務にとって重要なのは、実務経験である。確かに、もともとの頭の良さもある程度は必要であるが、どんなに頭が良くても弁護士として豊富な実務経験を積めなければ、優秀な弁護士にはなれない。二世弁護士は、親の助けを借りることによって、豊富な実務経験を得られる可能性が非常に高いのである。

昔の日本では、司法試験に合格すれば、本人が望めばほぼ間違いなく就職先が見つかり、豊富な実務経験を得ることができた。それだけでなく、ボス弁や先輩弁護士から懇切丁寧に指導を受けることができた。親が弁護士の二世でも、まず難関の司法試験に合格することができず、ひどい場合には、親の事務所の事務局長のような形で手伝っているということもあった。

アメリカでは、平均かそれ以上の能力があれば、ロースクールに入学して司法試験に合格することは可能である。二世弁護士が誕生しやすい土壌にある。司法試験に合格した後に、二世であるかどうかは格段の差をつける。弁護士の数が多いことから、就職するのは至難の業である。能力があってもちょっとした歯車の狂いで就職できなくなることは多い。
しかし、二世弁護士は、親のネットワークを使って就職先を探すことができる。それがダメなら親の事務所に就職するという奥の手がある。

アメリカでは、弁護士の数が多く、競争も激しいので、新人弁護士を育てようとしない土壌がある。勝手に自力で学んでくるアソシエイトには仕事をやらせるが、自分で学べないアソシエイトは、仕事を与えられなくなって沈んでいく。

この点も二世弁護士は有利である。身近にいる親又は親の知り合い弁護士が懇切丁寧に指導してくれるのである。ロースクールでは学べない実務に関する知識が身についていく。

更に、二世でない弁護士の場合、いくら大手事務所に就職できたとしても、そこから、パートナーになれるか、アソシエイトとして続けられなくなり外に出されるかという難関を通過しなければならない。外に出されて、インハウス弁護士の仕事が見つかればよいが、そのまま沈んでしまう弁護士もいる。

この点、二世弁護士は、親のネットワークを使い上手に渡り歩くことや、親の事務所を引き継ぐなどすることが可能であり、二世でない弁護士と比較すると格段に有利である。

結局、二世弁護士の場合、弁護士になってから15年後に、実務経験を十分に積んでいる、ネットワークの広い、顧客のある弁護士に育っている可能性が二世でない弁護士と比較して格段に高くなる。


これらのことは、今後の日本の法曹界にも当てはまるのであろう。

2015年5月6日水曜日

弁護士になるのは、野球選手になるのと同じリスクを負っている?

大人になったら、野球選手になりたいとか、俳優になりたいと、幼稚園の子供が夢を語っているうちは、親はニコニコしながら見ているだろうが、高校生くらいになっても、同じように、野球選手になりたいとか、俳優になりたいなどと言い続けていたら、親は眉をひそめるだろう。

何故だろうか。

もちろん、野球選手で億単位の金を稼ぎ、アメリカのメジャーリーグで何百億を稼ぐ選手もいるが、それは氷山の一角に過ぎず、二軍から上がれないままとか、一旦野球選手になったとしても、怪我でプレーが出来なかったり、芽が出ず、辞めざるを得なくなるなど、私たちの目に触れない人たちの方が大多数だからだ。

俳優も同じである。一部の億単位の金を稼ぐ人がいる一方で、バイトをしながら、何とか食いつなぎ、売れる日を待って、オーディションを受け続ける人などが数多くいるのである。そして、一生そのままで終わってしまう人が大半なのである。

さらに、野球選手や、俳優を目指してしまったら、他に転職をする道が少なく、転向が難しいので、途中であきらめてもその後の生計を立てるのが難しい。


ふと、考えると、現在の弁護士業は、野球選手や、俳優と同じになってきているのではないかと思う。

確かに、年間億単位で稼ぐ弁護士は存在し、そのような弁護士が消えることはないだろうが、全体の割合からすれば、極わずかである。一方、半分以上の弁護士が、貧困状態か、弁護士会費を支払うのが重い負担だと思う程度の収入しか得ていないのである。

確かに、億単位で稼ぐ弁護士が少なからずいるので、平均はある程度の額になるが、それは弁護士が儲かる仕事という根拠にはならない。大成功している俳優と、バイトをしながら、チョイ役をこなして生計を立てている俳優を全部合わせて平均収入を計算しているようなものである。

弁護士になりたいと夢を語っている人は、自分はその半分以上を占める貧困弁護士にはならないと思い込んでいる。野球選手になりたいと夢を語っているのも、自分は特別な能力があって、稼げると思い込んでいるからであり、それと大差ない。

さらに、マチ弁として、クレサラや離婚事件を何年もやった後の弁護士は、他に転職する道がほとんどない。企業法務の経験がないからである。弁護士を諦めて、他のことをやろうと思っても、そのごの生計を立てるのが難しいのである。これも、野球選手や俳優と同じである。


弁護士になるということは、野球選手や俳優になるのと似たようなリスクを負っているのだということを認識していない人は意外に多い。