2015年9月5日土曜日

日本の弁護士の業務拡大の必須条件は

日本で、弁護士の業務拡大を叫ぶ声が多い。ただ、今のままの制度では、弁護士の業務が拡大するとは思えない。弁護士登録抹消者を増やすだけである。

弁護士の業務拡大に必要なのは、二つ、①弁護士会費を年間5万円程度に下げることと、②海外を業務の本拠地とする弁護士登録を認めることではないだろうか。


まず、①についてであるが、現在、地域によって金額の違いはあるが、弁護士会費は年間60万円から100万円程度である。10年間支払い続ければ600万円から1000万円である。個人で負担するにはあまりにも額が多い。会社が5人の弁護士を雇って、弁護士会費を会社で負担した場合、年間300万円から500万円を負担することになるが、こうなると、人を一人雇うのに匹敵する負担になる。

こうなってくると、本当に弁護士登録をしなければ仕事ができない業務をやる弁護士以外は、弁護士登録を続けるのか、弁護士登録を抹消するかという選択を迫られることになる。
拡大された弁護士業務というのは、本来なら弁護士登録をしなくてもできる仕事がかなり含まれるはずである。弁護士業務を拡大するためには、弁護士会費を下げることで、弁護士登録を抹消するかという悩みを解消する必要がある。弁護士会費を下げることは、中規模の企業が弁護士を雇いやすくするためにも重要である。大企業でも、法務部には弁護士資格を持っている人しか雇わないといい始める会社が増えてくるかもしれない。


次に②についてであるが、これだけグローバル化が進んでいるなか、日本の弁護士会は、弁護士登録のために日本の住所を使わなければならないとは、驚きである。同じく日本の強制加入団体である弁理士会は、海外の住所で登録することを許しているようだ。弁護士会には、日弁連と各地域の単位会があって、その単位会によって弁護士会費が決まってくる。日本のどこに住所があるかでどの単位会に強制加入しなければならないかが決まるので、弁理士会とは違うのだと言うのかもしれない。しかし、海外にいる弁護士は、日弁連にだけ加入すればよいなど制度を変える方法を模索できないのだろうか。さもなければ、日本の弁護士登録が仕事上必須でなければ、弁護士会費の高さとあいまって、登録を抹消するだろう。実際そうやって登録を抹消した弁護士を何人か知っている。弁護士業務拡大を叫ぶ弁護士会は、弁護士がグローバルに働くことを掲げてることが多いが、日本の弁護士会の制度は弁護士がグローバルに働けないような制度になっているのである。自己矛盾である。


結局、弁護士業務拡大を主張している弁護士会は、弁護士会自体が弁護士業務拡大の障害になっていることを気づいているのだろうか。