2014年12月9日火曜日

大手事務所から振り落とされる弁護士

過去にアメリカの超大手事務所で働いていた弁護士の話である。


ある都市に大手事務所のオフィスで、ある特定の分野の弁護士たちがグループとして働いていた。クライアントを多く持つ一人のパートナーの仕事を多くの弁護士が引き受けて仕事をするという形式であった。他にもパートナーはいたが、その一人のパートナーに比べると仕事の規模は小さかった。
ある時、そのクライアントを多く持つパートナーがそのグループのうちの一部の弁護士とともに、他の超大手事務所に移籍してしまった。残された弁護士は、仕事が少なくなる。誰かから仕事をもらうか、自分でクライアントを捕まえてきて仕事を作るかのどちらかが出来ない弁護士は、年間2000時間のビラブルアワー(クライアントにチャージできる時間)を達成できずに外に出される。プラクティス分野が特定されてしまう大手事務所の弁護士は、ある分野の弁護士があまっているからといって、他の分野のプラクティスをしているパートナーから仕事をもらうことは難しい。
そこで、ビラブルアワーを達成できずに、外に放り出される弁護士の話は結構聞く。


クライアントを多く持つパートナーが何故自分の仕事を担当する弁護士全員を連れて移籍しなかったかの理由は容易に想像できる。移籍先の事務所は、移籍先の弁護士に仕事を与えてくれるパートナーに来てもらいたいと思っているので、全員を連れて行かない方が良い条件を提示してもらえるからだ。そこで、自分の仕事の中心的な役割を果たしている弁護士や、自分が気を許せる弁護士のみを連れて行こうとする。パートナーの個人的な好き嫌いも影響するだろう。

色々な弁護士を見ているが、最初に大手事務所に就職できるかどうかは、ロースクールの知名度とロースクールでの成績で決まることが多いが、その後の人生は、「運」「世渡りの良さ」「営業力」に影響されることが多いようだ。優秀な人が残れるとは限らない。

リーガスサービスの提供をビジネスとして行っているアメリカの事務所では必然なのであろう。