2014年10月14日火曜日

儲けているのはピラミッドの頂点の極一部だけ

「アメリカの弁護士はみんな凄く設けているんでしょう」と思い込んでいる人は多いが、大間違いである。儲けているのはピラミッドの上のほうの極一部の弁護士だけである。日本の企業がアメリカの弁護士と接するときは大手事務所の弁護士としか接しないので、その他大勢の弁護士資格を持っていても弁護士の職についていない者や、ぎりぎりの生活をしている弁護士と接する機会がないだけである。


ロースクール卒業後大手事務所に就職できるのは全体の約10パーセントを切るのではないかといわれているが、そのうち、パートナーとして残って儲かる弁護士になれるのは、さらにもっと少ない。一旦パートナーになったとしても何らかの事情でクライアントが減ったり、大きな事件が終わったりして仕事が減り、大手事務所から追い出される弁護士も数多い。その場合、小さい事務所に移籍してもクライアントが誰一人付いてきてくれないこともある。大手事務所に依頼しているクライアントは、事務所が大手であることを重視していることが多く、小さい事務所に移籍した弁護士に仕事を依頼したがらないのである。


大手事務所に勤めていたのに消息が分からなくなった弁護士は数多くいる。




アメリカ人の知人がこんなことを言っていた。ギャングのメンバーになればお金が儲かると思ってギャングのメンバーになる若者はいるが、結局金が儲かっているのはギャングのピラミッドの上層部だけで、下っ端は他の下っ端との小競り合いで、上層部にたどり着く前に殺されるか刑務所に行くかでほとんどが儲かるところまで到達しないということが書いてある本を読んだ。ギャングのメンバーになるまでそんなことは分からないので、若者は儲かる商売だと信じてメンバーになってしまうというわけだ。


これは、アメリカの弁護士にも共通しているのではないか。弁護士は儲かるのではというイメージを持っている人は案外いるようだが、本当は極々わずかの弁護士がリタイアする年齢まで弁護士として儲け続けられるに過ぎず、ほとんどの弁護士はそうではない。それを知らずに、弁護士になれば儲かるから、多少ロースクールの学費を借金してもやっていけるんだと信じて、この世界に飛び込む若者は結構いる。
しかし、実際には、大手事務所に入るのは至難の技であるし、入ったとしても他の弁護士と熾烈なクライアント獲得合戦を繰り広げなければならず、上層部として、つまりパートーナーにたどり着き、そのままパートナーを続けていけるのは極々一部だというのを弁護士になった後に思い知ることになる。さらに、弁護士としての職を見つけられなくなって脱落する者がかなりいるという現実を目の当たりにすることになる。